総合の時間?でつくった短編小説
木の思い出 ( 作:どうぶつ村の住人 )
花も草も何もない土地に小さい声がひびいた。
「もう…だれもいなくなってしまったのかねぇ…」
大きな木が、ささやいた。
「ここにいるよ」
小さな小さな石が大きな木に話しかけた。
「……」
大きな木は少しだけだまり、しゃべりだした。
「これは五年前のことよ……。私はある夏に、同じ、ここにいたわ。その時ここは、もっときれいだったわ。草も生えていて、虫もいて…。今とは大ちがい」
小さな小さな石は、言いました。
「ぼく、想像できないよ」
「そうね。そして、そこで私は、夏を、虫の音を聞いてすごしていたの...。そうしたら、すぐに冬になったわ...」
小さな小さな石は、む中になって話を聞いていました。気づくと、小さな小さな石は、草や花が生えている、草原にいました。
「あれ。ここどこ?」
と、不安になりました。
「あれ?」
小さな小さな石が雪をつもらせた木を見つけたのです。
「……」
小さな小さな石は、言葉が出ません。ただボーゼンと木を見ているだけです。
よーく見ると、木はだれかと話していました。その話相手とは、なんと、自分にのっかっている雪でした。
「……?!」
小さな小さな石は、はっと思いました。
「それに…、あの木どっかで…。あー。大きな木さんだー。それにそれに、その大きな木さんが草原にいるってことは...もしかしてここは...。過去?!」
小さな小さな石は、びっくりして、大きな木の方へ走りました。
「ねぇ。大きな木さん」
小さな小さな石が声をかけると大きな木は、
「あなた、だぁれ?」
と、言いました。小さな小さな石は思いました。
「あっそうだ、ここは過去だから、ぼくとは、まだ会ってないんだ」
「どうしたの?」
と、大きな木が話してきたので、小さな小さな石は
「なんでもないです。すみませんでした」
と言って遠くへ行きました。小さな小さな石は、遠くから、大きな木の過去を見ることにしました。
「ぼく、木さんと会えて、話せてよかった」
と雪が木に言いました。いきなりのさよならの場面なので、小さな小さな石は、とまどいながら見ていました。
「まって、雪くん。私も、雪くんを弟のように、何でも話せたわ。ありがとう」
雪はにっこりとして、いなくなりました。大きな木は、泣きました。ずっと、ずうっと。
そして次の日、大きな木が泣いていました。
「どうしたの?」
と声がしました。大きな木が顔を上げると、そこには、なんと雲がおりてきていました。大きな木はびっくりしましたが、またすぐに泣きそうになりました。それで雲があわてて言いました。
「えっ。ぼく、何か悪いこと言った?」
大きな木はすぐに、くびをふりました。
「ちがうの。実はね、雪と会ってお話しをしてたの。気づいたら、もう時間がなかったの。それで雪くんがいなくなって、さびしくて、かなしくて...」
「大丈夫だよ」
大きな木はびっくりして雲を見ました。
「大丈夫だよ。...君は、ずっとここにいるの?」
雲が大きな木に話しかけました。大きな木はくびをたてにふりました。そうしたら、雲が言いました。
「じゃあ、そんなことでくよくよしてちゃだめだよ。これからもっとかなしいことだって、苦しいことだってあるんだよ。君がうごけないから」
大きな木は、少し時間をおいてから、言いました。
「そうだね。こんなことで、くよくよしてちゃだめだよね。ごめんなさい」
「そう。その調子」
こっそり、このことを見ていた小さな小さな石が気づくと、そこはもとの何もない土地でした。小さな小さな石が大きな木に話そうとして、やめました。大きな木が泣いていたからです。小さな石は大きな木のとなりにすわり、つぶやきました。
「これが最後のなみだだよ」
って。
5年 はる
ー 担任より -
とてもよくかけています。会話がよい。
ー 10年後のはるより -
とても私好みのはなしです。恥ずかしいです。
以上。まる。